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ウゥン

 

今回の受傷に関しての考察

※本症例におけるCOIはありません。

 

1.はじめに

今回、神経難病を呈した終末期患者(全身的に錐体外路症状がある)の移乗全介助をした際に、介助者が急性腰痛を発症した。その原因を考察し対策を立てたことを以下に述べる。

 

2.症例紹介

若年、女性、未婚、婚活中。約10年前に自宅内で転倒したことによる腰椎椎間板ヘルニア(L2)の既往あり。保存療法と鎮痛剤にて軽快するが腰痛は残存。その他整形疾患なし。脳血管領域で作業療法士として勤務しており日常的に中腰をとる。

最近推しのお会い会に向けて毎日ストレッチをしていた。

 

3.評価

姿勢観察(立位)

左重心、右肩甲骨挙上、骨盤やや前傾で腰椎伸展。右側腹の短縮、右僧帽筋の膨隆(+)

足底やや小指側に重心がかかる(左<右)、股関節内旋に硬さあり。

その他客観的評価スケールは未実施。おそらくFBSは56点,10m歩行は5秒台だったと予測。

 

4.統合と解釈

本症例は日常的に左半側での姿勢制御を行っていることが特徴である。体幹の姿勢筋緊張低下に伴い肩甲骨挙上、骨盤前傾させて姿勢保持に寄与していると思われる。実技練習を行った際に姿勢を修正した中での立位及び立位バランス活動では右坐骨神経痛が出現したため、逃避反応として回避していたと推察される。また両股関節内旋の関節可動域制限がみられており、日常的に股関節外転・外旋で代償し筋性の固定による効率化された戦略をとっていたとも推察できる。

今回の受傷前より下肢および体幹のストレッチをしており戦略として使われていた股関節の代償が外れた。しかし体幹前面の姿勢筋緊張は低下していたままのため、右踵接地時の軽度動揺が認められていたが本人は気にしていなかった。その中で今回移乗全介助を行ったため右体幹ー股関節ー臀筋の安定がとれず左広背筋の過緊張、筋断裂がみられたと思われる。

 

5.対策と今後について

健康意識向上によるストレッチは今後も推進すべき項目であるため、今回の受傷に関して介助者に非は無いことをここに改めて表す。治療を実施する前に評価を行わなかった事が今回のインシデント繋がったと思われる。自身の問題点を柔軟ひとつにスポットを当てて治療するのではなく、包括的アプローチする必要があったと思われる。

そのため、今後は健康意識が高まった時は無闇矢鱈に試さず落ち着いて自身の身体機能を評価し、週ごとに治療効果をフィードバックしていこうと考えた。

 

6.謝辞

今回この症例を纏めるにあたり、受傷したワイ、急性腰痛を発症させて頂いた重症患者様に謝辞を述べる。

 

安心リハビリテーション病院

リハビリテーション代表室長 ワイ